麻酔について
2017.09.19
1.歯の局所麻酔の種類
局所麻酔というのは、範囲が限られた場所に使用する麻酔のことで、3つの種類に分けられます。1-1 表面麻酔
表面麻酔は、麻酔の注射をする歯茎の表面部分にかける麻酔で、皮膚の粘膜の近くを麻痺させ、注射の痛みを軽減させます。全く痛くなくなるわけではありませんが、針を刺すときの痛みを感じなくするのに有効な方法です。1-2 浸潤麻酔
浸潤麻酔は、痛みを取りたい部分に麻酔薬を注射する方法で、歯医者さんで最も一般的に行われています。粘膜下、歯肉に注射し骨内に薬をしみこませて神経を麻痺させます。1-3 伝達麻酔
伝達麻酔は、神経が分かれる部分に少量の麻酔を注射することで、治療をする場所から離れた部分まで広範囲を麻痺させることができます。麻酔がききにくい骨が厚い下あごの奥歯の治療をするときに、浸潤麻酔に加えて使用されることが多く、局所に炎症がある場合でも用いることができます。2.麻酔がききにくい場合がある
麻酔がまるできかないということはありません。しかし体質や症状、その時の精神状態、場所などによって麻酔がききにくいことがあります。2-1 麻酔の場所
下あごの奥歯は周囲の骨が硬く厚いため、麻酔薬が浸透しにくく麻酔がききにくい場所です。基本伝達麻酔を使う必要性は少ないですが、使用することもあります。2-2 歯茎に炎症がある
歯周病などによる歯茎の腫れがあるとき、膿がたまっているとき、神経が炎症を起こしているときなどは麻酔がききにくいです。これは酸性になる膿の性質によるものです。アルカリ性の麻酔が、酸性の体内に入ったとき中性になることで麻酔の効果が下がってしまうのです。2-3 お酒をたくさん飲む人
麻酔とお酒とはあまり関係ない、もしくは解毒作用が活発なので麻酔薬も解毒してしまい麻酔がききにくい、など諸説あります。しかし、飲酒習慣だけでなく患者ひとりひとりによって麻酔の必要量は違います。状態に合わせて適切に調整できるので心配ありません。3.痛みを感じにくくする工夫
当院では麻酔の痛みを軽減するためにさまざまな工夫をしています。3-1 麻酔の方法の工夫
麻酔注射の痛みを抑えるための表面麻酔を使用することがあります。また、一定のスピードで麻酔液を注入することで、圧痛を軽減できます。3-2 注射液の温度を管理する
麻酔注射が痛い原因は、針が刺さることよりも、冷たい麻酔薬を注入することにあります。麻酔薬をあらかじめ体温と同じくらいの温度に温めておくと、痛みの軽減につながります。3-3 細い注射針を使用する
注射の針は細ければ細いほど痛点に触れにくく痛みを感じにくいため、極細の注射針を使用しています。4.安全に受ける方法
麻酔の効果を引き出し、安全に受けるためには、治療の前に自分の体質や、病歴などをきちんと伝えておくことが大切です。4-1 病歴やアレルギー歴を伝えておく
局所麻酔薬でアレルギー反応を起こすことは極めてまれですが、アナフィラキシーショックを起こすことがあります。また、不安や痛みによってめまいや吐き気などが起こることもあります。局所麻酔薬の多くにはアドレナリンが含まれています。心臓疾患や高血圧の方は、血圧上昇や動悸が表れることがあるので、治療前に医師に伝えましょう。アドレナリンを含まない麻酔薬も開発されていますので麻酔について不安があるかたは事前にきちんと医師に伝えておきましょう。